VTuber〜新しいアイドルの形態と可能性について〜

さて、みなさん。

突然ですが、2017年度末から流行りだした「バーチャルユーチューバー」なるものをご存知だろうか。

というか皆さんは「ユーチューバー」をご存知だろうか?


ユーチューバーとは、その名の通り動画サイトyoutubeに自身の動画をアップし、再生数を稼ぐことで生計を立てる方々の総称である。

再生数10回につき1円が入るため、例えば月に一回、300万再生される動画をアップすれば月収30万で十分暮らしていけるという寸法だ。

今の子どもたちはユーチューバーを見て育ち、ユーチューバーになりたがる子供もいると聞く。
(小学生向けユーチューバー養成講座なるものも世の中に存在するらしい。)


そして、バーチャルユーチューバーとは、自身の体を張るユーチューバーと異なり、二次元のキャラクター(AIっぽい感じ)のMMD(MikuMikuDance、キャラが踊ってくれるやつ)に声を当てる形式で動画をアップする方々(?)である。

キズナアイ、などと言えば耳にしたことくらいはあるだろうか。

かくいう私も最近、電脳少女Youtuberシロちゃんの動画にハマっている。


バーチャルユーチューバーはオタク向けのユーチューバーだとか、ちょっとキャラがついた途端オタクがユーチューバーに手のひら返ししただとか散々言われているが、あれは15年ほど前のネット黎明期から続く文化の正当な進化系だと思う。

少しネットの昔話をしてみたいと思う。

実在の人物とバーチャルなキャラクターとの中間のような存在であるバーチャルユーチューバー。

古参ネットユーザーならはるか昔に似たようなものが存在していた事を覚えているかもしれない。

そう、バーチャルネットアイドルである。

「バーチャルネットアイドル(以下「VNI」と表記)の産みの親「バーチャルネットアイドル ちゆ12歳」により、「バーチャルアイドルとネットアイドルのあいの子」と定義される。

架空のアイドルであるバーチャルアイドルと、実在の人物がインターネット上で写真を載せたり、日記を書くなどの活動を行うネットアイドルを掛け合わせたものである。

多くのVNIのウェブサイトでは「アニメ風の美少女キャラクターを採用し、キャラクター自身がサイトの運営を行っている」というスタイルをとる[1]。

ウェブサイトのコンテンツについては日記やニュースなど何であってもかまわず、見た目がそれらしければVNIとされた[2][1]。」(出典:wikipedia)


要約すると、かつてのブログ全盛期時代に、実在の人物であるネットアイドル(ネギま!のちうみたいな)というものが存在し、それに対応するバーチャルネットアイドルが存在していた。

つまり、バーチャルユーチューバーに対応する概念は15年前のネットにすでに存在していたわけだ。
(余談だが、ちゆ12歳のページは2017年でもまだ更新されていたりする。)

 次はバーチャルユーチューバーの内容を見ていこう。

あまり多くの動画を見ていないが、主に以下の共通点があると考えられる。
・キャラへのMMDの使用+声だけ当てる
・ゲーム実況
・やってみた、作ってみた、踊ってみた等
・生放送(撮った動画ではなく、無編集の動画という意味)
・ミリしら(音声なし初見動画に声を当ててみる、1ミリも知らない○○が由来)
etc…

これまたお気づきの人もいるだろうが、敢えて言わせて頂きたい。

「これ、youtubeじゃなくてニコニコ動画だよな?」

上に挙げたMMDのような技術、生放送というシステム、実況ややってみたやミリしら等、ほぼ全てニコニコが元祖である。

何が言いたいかというと、これはニコニコから生まれるべき技術と文化の集大成であったのだ。

バーチャルネットアイドルの文化も含めると、パソコンでネットをしていた時代の文化における一種の集大成とも呼べるだろう。

 さて、そうなると一つ疑問が生まれる。

何故ニコニコでこれが生まれなかったのかと。

当のニコニコでは、バーチャルユーチューバーの動画が流行ったものの、youtubeからの転載や編集、ごくたまにMAD動画が作られるのみであり、ほぼ何も生み出せていない。

つまり、これを作れる技術者達はニコニコからyoutubeに行ってしまったということだ。

動画投稿やらにお金がかかるニコニコと、再生されたらお金が入るyoutubeでは比べ物にならないというのも至極当然だが、個人的にはニコニコがそれで儲けた金をニコ生や有名実況者等に配分しすぎたからだと考えている。

ニコニコ動画を再生する人間全てが彼らを見るわけではないし、ニコニコ超会議(笑)などに参加する人間も一握りであることを見誤り、本来支えている人間を逃してしまったのではないだろうかと個人的には思う。

長々と書いてきたが一言だけ。

上に挙げた要素に一つでも懐かしさを感じたなら、バーチャルユーチューバーはオススメですので是非お試しください。